オーストラリアで受けた人種差別に対して思うこと【タスマニア】
ばーしーです。
先日、オーストラリアで差別を受けたことがあるか聞かれたことがあったので、今日は差別について自分の身近に起きたことをお話ししようと思います。
これから海外で旅をしようとしている方、ワーホリ、留学をしようとしている方で、差別を受けるのか不安に思ったことはありますか?
悲しいことですが、差別は存在します。場所や条件が限定されますが、現在も差別は残っています。
未だに残る人種差別
2018年1月、タスマニアで大金(タスマニアドリーム)を掴むため、ぼくはチェリーファームで働いていました。
タスマニア南部はオーストラリアで1番寒い場所で、その陸地の少ない特異な緯度により1月に高級なチェリーが成ることとして、一部のファーム好きには有名な場所です。
非常に忙しい日々でした。ファームからは1ヶ月という限られた時間の中で多くのチェリーを収穫することが使命とされていて、長距離をノンストップで駆け抜けるようなスピード感とスタミナが求められる仕事です。
ファーム側もワーカー側も、我こそが勝つと言わんばかりに自分のメリットのことを考え行動しました。例えばファーム側としては、収穫量が奮わなかったりファームの収穫ルールを守らないワーカーが呼び出され、スーパーバイザーと呼ばれる現場監督の判断一つでクビにされることは日常的にあり、一方でワーカー側も、良いチェリーが成っていなかったり、稼げるルールや環境ではないと感じたら集団で別のファームに移ることもあります。「遠慮していたら自分が損する」そんな空気が流れていました。
そんな中、事件は起きました。
シーズンの最中、ぼくが当時働いていたファームではチェリーの質が悪くなり、多くのワーカーが他のファームに移ることにしました。
そのファームでは、指定された日に「インダクション」と言われる仕事を得るための説明会があり、それを受けに40~50人のワーカーが訪れたのです。
アジア人以外が仕事をもらえた
インダクションにはファーム側が想像していなかった数のワーカーが殺到したようで、選抜して雇うということになりました。
「まず、ヨーロッパ出身の人はこっちへ、アジア出身の人はこっちへ」
そう誘導されました。
促されるまま全員がそのように移動した後、ファームの責任者は
「こちら側(ヨーロピアン)の人たちは明日から仕事だ。詳細を説明するから残ってくれ。こちら側(アジア人)はまた必要になったら連絡する」と言いました。
面接も、会話も何もしていません。出身で、採用と不採用を決めたのです。
そのファームでは人種差別はまかり通っている
もともとそこで働いていた日本人に話を聞くと、口を揃えて出てくる「アジア人に対しての扱いがヨーロピアンよりも厳しい」。労働環境の良い場所を優先的にヨーロピアン、特に英語のネイティブスピーカーに任せているという話でした。
差別はなぜ起きるか
今の話の中で、なぜアジア人は雇わないということが起きたのか、差別が生まれる理由を考えてみました。
ステレオタイプ
「◯◯の国の人はこうだろう」という先入観です。我々アジア人、特に日本人にとっては英語を習得するのが難しく 、あるところでは「日本人は喋れない。自分の意見を言わない」ということが暗黙の共通認識のようになっています。
当時滞在していたワーキングホステルでは「英語が話せない、理解できないと雇ってくれなかったり、クビになる」と言っていました。
「コミュニケーションがとれない人は、採用するに値しない」ということが、ステレオタイプによって判断されてしまったということです。
相手を知ろうとする気持ちの欠如
相手がどんな人かを知ろうとするって、時間も労力もいることです。自分が持つ偏見が消えるくらいまでの間柄を築くのは骨が折れることなのです。1ヶ月しかない稼ぎどきの時期に、一人一人理解する時間や労力を割いていられなかったのではないかと思います。
誰しも偏見がある
ぼく自身、特定の国に対して固定概念や偏見はあります。このことを受けて「ちゃんと話もせずにアジア人全員切るなんて、やっぱりオーストラリア人はLazyだな」と思いましたが、これも一つの偏見です。しかし、そんな偏見を持っていても、ぼくがオーストラリア人に対する態度は他の国の人となんら変わりません。
人種差別を受けて思うこと
上で言ったように、誰しも少なからず「お国柄」という偏見を持っていると思います。しかし、それを全員に当てはめて相手を理解せずに判断してしまうと、国籍を超えて本当に自分に合う素敵な人との出会いを遠ざけると思います。この件を期に、一層目の前にいるその人のことを理解しようとし、その人自身を見るべきなのかなと思いました。
タスマニアにチェリーピッキングに行く日本人へ
最後に、タスマニアにチェリーピッキングに行くための情報収集をする中で、この記事にたどり着いた人に、同じ思いをして欲しくないので情報を記しておきます。今回の記事でぼくがお伝えしたかったことは全て書けたので、「お前の意見はもうわかったよ!」と思いの方は閉じていただいて結構です。
タスマニアは自然豊かで人々もナチュラルで本当に良いところだと思います。しかし、自由気ままが故に「どうせ喋れないアジア人」と決めつけて遠ざけるタイプの人間もいることを肝に銘じてください。
その件が起きたファームを、「ハンセンファーム」といいます。
中には英語がわからず差別されていること自体に気づかない人もいましたし、自分の働いている場所が最高!と自分に言い聞かせる人もいました。しかし一方で嫌な思いをしている日本人をたくさんいたことは紛れも無い事実です。
チェリーの出来の良し悪しは年々変わりますが、働く人は大幅には変わらないので、これからもそこのファームはこういった環境だと思います。
ぼくがいたファームは「オージーチェリー」というファームで、インダクションの時に担当者が「我々のファームは国籍に依らず様々な人種が団結して仕事をしていきます。人種によって優劣をつけるようなことは決してしないから、みんなのびのび、意見を言い合って、たくさん収穫して、お金を稼ごう!」と言っていました。当時は何のことを言っているんだろう、と思って聞いていましたが、シーズンが終わった今、彼が伝えたかったことが理解できます。
どこで働いても、良い部分・悪い部分は見えてくると思いますが、せっかく大切な時間を費やす場所です。ぜひ後悔のないピッキングライフを送ってください。
ということで、以上今日はここまで。
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